藻類によるバイオ燃料の商用利用に向けて活動・研究開発を行っています。

ごあいさつ

理事長 井上 勳

理事長 井上 勳

 シェールガスやメタンハイドレートなど、新たなエネルギー資源の可能性が報道されています。しかし、これらはいずれも枯渇する化石燃料資源です。また、シェールガスの採掘は水質汚染を伴うといわれています。長期的な視点に立てば、再生可能エネルギーへの移行は必然といえます。再生可能エネルギーのなかでバイオマスが注目されるのは、「バイオマスだけが液体燃料を供給することができる」からです。液体燃料は、エネルギー密度が電池に比べてはるかに大きく、しかも貯蔵と輸送が容易です。航空機などの大型輸送には今後も液体燃料が不可欠とされています。また、バイオマスに由来する炭化水素は化学製品の原料代替としても不可欠です。

 

 第一世代のバイオマスである大豆やサトウキビを用いたエネルギー開発は、穀物価格の高騰を招き、国際的な批判を浴びました。アブラヤシや森林資源などの第二世代バイオマスも、土地をめぐって食料生産と競合する宿命を負っています。そのような状況の中で、藻類バイオマスはオイル生産の潜在力が陸上植物の数十~数百倍と高く、また生産に必ずしも耕作地を必要としないことから注目されています。

 

 ここ数年、世界中で藻類エネルギー開発の取り組みが加速しています。シェールガスで世界一の産油国になるといわれる米国でさえ、これまで以上に投資を拡大しています。欧州、アジア諸国でも国家プロジェクトとして研究開発が進められています。日本でも、多くのプロジェクトが進んでいますが、必ずしも戦略的な取り組みになっているとはいえない状況です。

 

 藻類の産業創成には、基礎的な生物学から、プラント規模での培養、濃縮、収穫、精製などの技術開発、さらに抽出オイルの用途開発まで、多くの分野の知見と技術の融合、統合が必要です。2010年に発足した藻類産業創成コンソーシアムでは、2011年度の農水省プロジェクトの支援を得て、藻類の「第6次産業化」の可能性調査を行いました。国家的見地から、藻類産業創成に必要な課題について調査し、わが国で最初ともいえる包括的な研究開発ロードマップを作成し、多くの評価、反響をいただきました。

 

 国内最大の団体に成長したとはいえ、コンソーシアムはまだまだ力不足です。次のステップに進むために、2013年4月にコンソーシアムを法人化し、社会でより責任ある立場として活動できる基盤を構築しました。2013年10月より、福島県次世代再生可能エネルギー技術開発事業で土着藻類バイオマスの総合利用を目的とした3年間の大型研究開発プロジェクトを実施しております。

 

 世界では、藻類産業創成の動きは明らかに新たなフェーズを迎えていますが、わが国はまだ基礎研究と初期の研究開発の段階にあります。藻類産業創成コンソーシアムは、会員の皆様への情報、技術の提供や会員企業が参加する共同研究や研究開発事業の橋渡しの役割を果たし、わが国の藻類産業の発展に貢献していきたいと思います。同時に、世界各国と強調、連携して、人類の共通課題であるエネルギー問題の解決に貢献したいと考えています。会員の皆様には、藻類産業創成に向けて積極的なご発言、ご提言をいただけますよう心からお願い申し上げます。