藻類バイオマスとは
バイオマス(biomass=生物 bio + 物質の量 mass)とは、元来は「生物現存量」を意味します。生体活動に伴って生成するもの、または生態学の分野で植物、微生物体の有機物を物量換算した量を表わす言葉でしたが、石油ショック以降は「エネルギー源としての生物資源」の意味を含むようになりました。
バイオマスを用いた燃料は「バイオ燃料」と呼ばれ、バイオマスから得られるエネルギーを「バイオエネルギー」、または「バイオマスエネルギー」といいます。バイオマスが燃焼することにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成によって大気中から吸収されたCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することによって、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの一つであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。近年の原油価格の高騰や地球温暖化への意識の高まり、また原子力発電所事故に起因する脱原発の動きから、新たな再生可能エネルギーとして、微細藻類が産生するオイルなどの「藻類バイオマス」の活用に注目が集まっています。
微細藻類は、一般的には水中に存在する顕微鏡サイズの藻で、その多くは植物と同様に太陽光を利用し、二酸化炭素を固定して炭水化物を合成する光合成を行い、代謝産物としてオイルを産生します。
微細藻類によるバイオ燃料は、植物由来のバイオ燃料に比べて、桁違いに生産効率が高く、またトウモロコシなどのように食品利用との競合もないため、次世代バイオ燃料として大変注目されています。今後、大量培養技術が確立されれば、日本を産油国にすることも夢ではありません。
典型的なバイオマス資源の種類
各種作物・微細藻類のオイル生産能の比較 (Chisti 2007を改変)
*バイオマス(乾燥重量)の*70%、**30%が、オイルの種あるいは培養株 Chisti, Y.(2007):Biodiesel from microalgae. Biotechnol. Adv. 25, 294-306
藻類産業創成コンソーシアム平成23年度「農山漁村における藻類バイオマスファームの事業化可能性調査報告書」より