藻類によるバイオ燃料の商用利用に向けて活動・研究開発を行っています。
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産業で利用されている主な藻類

クロレラ(Chlorella

Chlorella

Chlorella

 緑色植物門、トレボキシア藻綱、クロレラ目、クロレラ科の一種で直径2-10μmの球形細胞を有する。繁殖は自生胞子で無性的に増殖をくり返すだけであり、高い増殖能、光合成能を有する。乾物としての成分は、タンパク質45%、脂質20%、糖質20%でその他ビタミン類やミネラル類を含む。大量培養が可能になった1960年代以降は、健康食品として市場が確立されている。窒素欠乏条件下でオイル含量が増加するが、細胞の増殖も低下するのが欠点。2010年には、フランスの国立科学研究センター(CNRS)が中心となって全ゲノムが解明された。このゲノム解析結果により、健康補助食品から工業原料としての用途拡大が期待されている。

 

 

ドナリエラ(Dunaliella

Dunaliella

Dunaliella

 緑色植物門、緑藻綱、ドナリエラ目、ドナリエラ科の一種。細胞は単細胞でやや細長い楕円形、先端に2本の鞭毛を有する。細胞壁を持たず、生育条件によって細胞内にβ-カロテンなどのカロテノイドを蓄積する。D. salina は塩分濃度の高い場所で生育し、死海の他各地の塩田や塩湖で見られる。ドナリエラから生産されるカロテノイドは細胞の再生を助ける抗酸化作用に優れるといわれ、化粧品に利用されるだけでなく、健康食品として市販されている。

 

 

スピルリナ(Arthrospira, Spirulina

Arthrospira

Arthrospira

 藍色植物門、ユレモ目の藍藻(シアノバクテリア)。スピルリナの名前で呼ばれているが、現在ではSpirulina属からArthrospira属に移されている。大量培養に使用されているのは A. platensisで、現在でもSpirulina platensisの名前で呼ばれることもある。幅5-8μm、長さ300-500μmほどの螺旋形をした糸状の藍藻。アフリカや中南米の湖に自生する熱帯性の藻類で、現地の人々の貴重なタンパク源として利用されてきた。水温30℃~35℃の無機塩類濃度の高いアルカリ性 (pH9-11) の水を好む。細胞壁が薄いことが特長で、成分抽出が比較的容易である。また、群体が大きいためにフィルターろ過で脱水濃縮ができる。乾燥したスピルリナは、タンパク質の割合が60%、他にビタミン、ミネラル、多糖類、クロロフィルなどを含む。青色の天然着色原料として冷菓・乳製品・飲料・ガムなどに利用されている。

 

 

ユーグレナ(Euglena

Euglena

Euglena

 ユーグレナ植物門の藻類で、ミドリムシという和名で一般的に知られている。鞭毛を有し運動性がある。主に富栄養条件の淡水域に分布する。光合成を行って独立栄養生活を営むが、従属栄養での増殖も可能である。油脂は炭素数14を中心とした脂肪酸やアルコールで構成されている。貯蔵多糖はβ-1,3-グルカンの高分子であるパラミロンであるが、嫌気的条件で培養されるとこれをワックスエステルに変換する。成長速度も速い。

 

 

ナンノクロロプシス(Nannochloropsis

Nannochloropsis

Nannochloropsis

 不等毛植物門、真正眼点藻綱に属する海産性単細胞藻類。大きさが約5μm、球形で、海水で生育するために、豊富な海水の利用が可能。脂肪酸含量は約30%、脂肪酸中EPAが約35%の割合で含まれており、低窒素培養条件で脂質量が増加する。EPAはω-3タイプの高度不飽和脂肪酸であり、分化誘導能、抗腫瘍作用、学習機能の向上、血糖値低下作用、抗リューマチ作用、発毛・育毛作用等々種々の生理活性が報告されている。ワムシやヒラメなどの魚類、甲殻類の種苗生産に効果があり、注目されている。

 

 

ヘマトコッカス(Haematococcus

Haematococcus

Haematococcus

 緑色植物門、緑藻綱、クラミドモナス目、ヘマトコッカス科の単細胞藻類。高い抗酸化作用をもつカロテノイドであるアスタキサンチン(エビやカニ、サケがもつ赤い色素)を大量に含有することで知られ、これを抽出したものが健康食品や化粧品に広く利用されている。ヘマトコッカスは、強光、乾燥による塩濃度の上昇、栄養塩の欠乏など、急激な環境の変化があると休眠細胞を形成する。アスタキサンチンの含有量はこの休眠細胞で特に多く、そのために、細胞は赤色を呈する。自然界では、しばしば乾燥した岩のくぼみや墓地の水鉢で赤色のマットとして見られる。

 

藻類産業創成コンソーシアム平成23年度「農山漁村における藻類バイオマスファームの事業化可能性調査報告書」より